「毎月分配型はオワコン?」FANG+毎月分配型が再注目される本当の理由
毎月分配型の投資信託というと、
- 「手数料が高いのでは?」
- 「タコ足配当じゃない?」
- 「インデックスに勝てない」
といったネガティブなイメージがつきまといがちです。
確かに、資産形成期は 分配のたびに課税される=複利が効きづらい ため、
積立投資にはあまり向きません。
しかし、FIRE後やキャッシュフロー重視のフェーズ になるとこの見方が一変します。
✔ 毎月“お金が入ってくる安心感”
✔ 相場の影響を受けにくい心理的な安定
✔ 収入の“見える化”による生活設計のしやすさ
こうした背景から、毎月分配型は急速に再評価が進んでいます。実際、国内で販売されている投資信託の純資産ランキングを見ると、上位5銘柄のうち3位と4位に毎月分配型ファンドがランクイン しており、人気の高さが数字にも表れています。

一方で、世界の成長企業が集まる FANG+指数 は近年の株式市場を象徴する存在。
そのFANG+をベースにした 「毎月分配型」ファンドが登場 したことで、
ハイテクの成長 × 毎月インカム
という、これまでにない選択肢が生まれました。
さらに海外では、FANG+と同様の銘柄群を組み合わせたカバードコールETF「FEPI」 がすでに高い支持を集めています。
「FEPIを1株持つだけで、毎月およそ1ドルの収入を得られる」
――そんな“ETFを毎月の収入源として活用する”スタイルが広がりつつあります。
一方で、FANG+毎月分配型とFEPIは、見た目こそ似ていますが本質的にはまったく別物です。
- 分配構造
- 値動き
- 税金
- 安定性
すべてが異なります。
つまり、どちらが優れているかではなく、
「自分の目的に合うのはどちらか?」 が重要になってきます。
2024〜2025年は、
- 毎月分配型の再評価
- 高配当ETFブーム
- ドル/円による収入最適化ニーズ
が重なり、「FANG+毎月分配型とFEPI、どちらを選ぶべきか?」 が多くの投資家にとって大きなテーマになっています。
本記事では、この2つの違いと特徴を丁寧に整理しながら、あなたの投資スタイルに合う正しい選び方 をわかりやすくまとめていきます。
そもそも FANG+毎月分配型とは?
FANG+毎月分配型の正式名称は、「iFreeNEXT FANG+インデックス(毎月決算/予想分配金提示型)」。世界のビッグテック10社に投資する指数”FANG+インデックス”をベースにした新しい毎月分配型コースです。
仕組みとしては、
- 毎月決算を行い
- 基準価額の水準に応じて分配金を提示する「予想分配金提示型」
という点が最大の特徴です。
実績あるインデックスを土台にした安心感
このファンドの土台となる iFreeNEXT FANG+インデックス(2018〜) はすでに長く運用されており、
- 基準価額は長期的に右肩上がり
- 純資産も着実に拡大
- 個人投資家・RIAからの支持も厚い
という、国内でも“ハイテク成長株インデックスの代表格” といえる存在です。
参考:大和アセットマネジメント公式
https://www.daiwa-am.co.jp/news/20251120_5153.pdf
成長力を毎月の分配金として受け取りたい
——そんな投資家の声に応えるかたちで登場したのが今回の新コースです。
長年実績を積み上げてきた iFreeNEXT FANG+インデックス をベースに、その 成長パワーを“毎月のインカム”として受け取れるよう設計されたのが『FANG+毎月分配型』。
まさに、ハイテク株の成長 × 毎月インカムという、これまでになかった組み合わせを実現するファンドです。
FANG+毎月分配型の特徴
- 予想分配金提示型(基準価額により0〜500円に変動)
- 上昇相場で分配金が大きく伸びやすい
- ハイテクの成長を“毎月の収入”として受け取れる
- もともとのインデックスに実績があるため安心感が高い
上昇局面では分配金が急伸し、下落では分配金が自動で抑制される──
“成長力をインカム化できるタイプ”の毎月分配型です。
比較対象となる「FEPI」はどんな商品?
本記事では後ほど詳細に比較しますが、FANG+毎月分配型の特徴を理解すると、多くの人が気になるのが
「では、よく話題に出るFEPIとは何が違うのか?」
という点です。
実際、FANG+毎月分配型とFEPIは名前の印象が似ているうえ、どちらも “ハイテク関連の毎月インカム” という共通点があります。そのため、FIRE層や高配当ETF投資家のあいだでは、比較対象として語られることが非常に多い商品です。
そこでこのあとの比較を理解しやすくするために、まずは FEPIの基本的な性質 を軽く整理しておきます。
FEPIの特徴(ざっくり把握用)
FEPIは米国のカバードコールETFで、正式名称は「REX FANG & Innovation Equity Premium Income ETF」
- FANG+とほぼ似た銘柄群に投資
- カバードコール戦略を活用
- 毎月1株あたり約1ドルの安定分配
- 下落に強いが、上昇の伸びは限定的
という特徴を持つ “安定収入型” のETF です。両者の特徴を軽く整理したところで、次に重要になるのが「どちらがどんな相場・どんな人に向いているのか」という点です。
つまり同じハイテク領域でも、
- FANG+毎月分配型:成長の波を分配金として取りに行く “変動型”
- FEPI:毎月1ドルをコツコツ積み上げる “安定型”
というように、狙っているインカム構造が根本的に異なります。こうした前提を押さえておくと、この後の比較が一気に理解しやすくなります。
FANG+毎月分配型は “値動き連動型のインカム”
FANG+毎月分配型は、基準価額の水準によって毎月もらえる分配金の目安が変わる仕組みです。
基準価額が上がれば分配金が増え、落ちると分配金も下がる。
つまり 値動きとリンクして動くタイプ のインカム商品です。
掲載しているシミュレーションは、大和アセットマネジメントが公表した「基準価額に応じた分配金の水準イメージ」です。

実際にも、
- 500円 → 300円 → 200円 → 0円
と上下することがあり、「安定目的」の商品ではありません。
FEPIの特徴(安定型インカム)
FEPI(米国ETF)はカバードコール戦略で運用され、プレミアム収入(オプション売却益)+配当 が収入源です。
- 毎月1ドル前後
- 設定以降、一度も0ドルになったことがない
- 下落相場ほどプレミアムが増えやすい

「株価が動いても、毎月の受取がほぼブレない」という安定設計になっています。
ここまでで、
- FANG+毎月分配型:値動き連動で分配が上下する“変動型”
- FEPI:毎月1ドルが安定して入る“安定型”
という性質の違いが明確になりました。
この前提を押さえておくと、この後の 利回り比較・値動き比較・税金比較 がさらに理解しやすくなります。
分配金の違い(2025年版の実例付き)
FANG+毎月分配型の変動分配
- 基準価額12,000円 → 300円(年利約30% / 月利2.5%)
- 基準価額14,000円 → 500円(年利約43% / 月利3.57%)
上昇時の“爆発力”は非常に大きいですが、安定しない点は理解が必要 です。

FEPIの毎月1ドル安定分配
- 株価45ドル → 1ドル(年利約12% / 月利2.22%)
毎月の収入計画を立てやすい、“安定性重視のインカムETF” といえます。
値動きの性質は完全に別物
FANG+毎月分配型は“成長相場の波を取りに行く”インカム型
※以下のチャートは「毎月分配型そのもの」ではなく、現行のiFreeNEXT FANG+インデックスの値動き を使っています。→ 性質が近いため参考として掲載。

✔ 上昇局面は指数連動で一気に伸びやすい
→ハイテク株の成長にダイレクトに乗れるため、急伸しやすい。
✔ 下落局面は大きく落ちる
→2025年3〜4月の急落ポイントが典型例。
✔ 結果:分配金も上下しやすい
→基準価額が大きく動き分配金も連動して上下する
という特徴があります。
相場の強さを取りに行きたい人向けであり“安定した分配” を求める人にはやや不向き
FEPIは“下落に強く、上昇は抑えられやすい”設計
FEPIはカバードコールETFのため、値動きはハイテク指数と異なります。

✔ 上昇は「上値が重い」
→コールオプションを売っているため、上昇時の利益は伸びにくい。
✔ 下落は「下がりにくい」
→毎月のプレミアム収入がクッションになり、下落耐性が強い。
✔ 結果:横ばいの動きになりやすい
→35〜50ドルのレンジを抜けにくい構造になっています。
不安定相場や横ばい相場に強いのがFEPIの特徴。
一方で、強い上昇相場を取りに行くならFANG+の方が向いています。
税金の違いは「実質利回り」を左右する
| 項目 | FANG+毎月分配型(国内投信) | FEPI(米国ETF) |
|---|---|---|
| 商品区分 | 国内公募投信 | 米国上場ETF(外国株扱い) |
| 課税対象 | 分配金に日本の税金のみ | 分配金に米国+日本で二重課税 |
| 日本での税率 | 20.315% | 20.315% |
| 米国源泉税 | なし | 10%(ドル建て分配から天引き) |
| 実質的な税負担 | 日本税20.315%のみ | 実質税率は約28.3%(米国10%+残額に日本20.315%) |
| 外国税額控除 | 不要 | 利用は可能だが、所得・扶養・社会保険料・住民税の状況により使いづらいケースが多い |
見かけの利回りが同じでも、実際に受け取れる金額は大きく変わります。FEPIは「米国10% → 日本20.315%」の二重課税がかかるため、手取りではFANG+毎月分配型のほうが有利になりやすい傾向があります。
FANG+毎月分配型 vs FEPI|比較まとめ表
| 項目 | FANG+毎月分配型(国内投信) | FEPI(米国ETF) |
|---|---|---|
| 分配金の性質 | △ 変動幅が大きい。0円の可能性も | 〇 毎月1ドル前後で推移 |
| 分配金の伸びしろ | ◎ 上昇局面で大きく伸びやすい | △ 安定だが大きくは伸びにくい |
| 利回りの傾向 | ◎ 成長相場では高利回り | ○ 安定した利回り |
| 値動き(上昇局面) | ◎ 強い(ハイテク連動) | △ 上値が重い |
| 値動き(下落局面) | △ 大きく落ちやすい | 〇 プレミアム収入で下落が緩和 |
| 相場との相性 | トレンド相場に強い | 横ばい・不安定相場に強い |
| 税金 | 日本税20.315%のみ | 米国源泉税10%+日本20.315% |
| 外国税額控除 | 不要 | 可能だが万人向けではない |
| 通貨 | 円建て | ドル建て |
| 向いている人 | 成長&インカム両取り / ハイテクの上昇を分配金で取りたい | 安定した毎月収入 / 下落耐性を重視 / ドル建て収入をほしい |
FANG+毎月分配型が向いている人
- 「成長 × インカム」の両取りを狙いたい
- ハイテク相場の上昇を“分配金として”受け取りたい
- 分配金が月ごとに上下しても気にならない
- FIRE後のキャッシュフローをもっと伸ばしたい
- 値動きが大きくても運用できる(価格変動にある程度強い)
- 上昇相場の恩恵を最大化したい
価格が動く=分配金も動く → 相場を取りに行く人向け
FEPIが向いている人
- 毎月の収入をとにかく安定させたい
- 相場が荒れてもブレない収入が欲しい
- ドル建ての毎月インカムを積み上げたい
- 値上がりより“毎月1ドル × 株数”の安定性を重視したい
- なるべく分配の変動を避けたい
- 資産全体に“下落時のクッション”が欲しい
価格が動いても月次収入が大きくブレない → 安定収入を優先する人向け
筆者のスタンス:3本柱のインカム設計へ
筆者は現在、毎月分配型の“核”としてインベスコ世界厳選株式オープン(世界のベスト) を中心に据えています。
- 毎月150円の安定分配
- 為替リスクなし
- FIRE後のキャッシュフローの“土台”として非常に安定的
ただしインベスコは、基準価額が上昇しても 分配金は150円のまま。
そのため、成長局面の恩恵をインカムとして取り切れない弱点があります。
そこで今後は、次の3つを組み合わせることで「安定 × 成長 × 通貨分散」を同時に満たすインカム設計をめざしています。
成長局面のインカム:FANG+毎月分配型(予想分配金提示型)
ハイテク株の上昇を “毎月の分配金” として受け取りやすい、変動型のインカム源。
成長相場で分配金が大きく伸びる役割。
ドル建ての安定収入:FEPI(カバードコールETF)
毎月1株あたり約1ドルの安定した分配。下落に強く、為替分散も兼ねられる“安定型”のキャッシュフロー。
円建ての安定収入:インベスコ150円の分配
FIRE後の生活費を支える“揺らぎにくい土台”。コアとして最も安定しているため、引き続き中心に据える方針。
この3つを組み合わせることで、「安定性は確保しつつ、成長局面も逃さず、収入源も通貨で分散」というバランスの良いインカム設計が実現できます。
まとめ:正解よりも“自分に合う形”を選べばいい
FANG+毎月分配型とFEPIは、どちらが優れているかを競う商品ではありません。
大切なのは 「自分がどんな性質のインカムを求めているのか」 です。
たとえば、
- 成長相場の伸びを分配金として取り込みたい
→ FANG+毎月分配型 - 毎月の安定収入を最優先したい
→ FEPI
というように、求める収入のタイプで答えは変わります。
FIRE後の生活設計、収入の柱の組み方、リスク許容度、為替の考え方──
こうした前提が少し変わるだけで「しっくりくる選択肢」も大きく変わります。
投資は“当たりを引くゲーム”ではなく、自分の生活を安定させるために、収入の形をデザインしていく作業 です。あなたの資産状況や価値観にフィットした収入設計のために、今回の内容が少しでもその判断材料になれば幸いです。
FANG+は“成長をインカムに変える商品”、FEPIは“毎月の安定収入を積み上げる商品”。
どちらが正解ではなく、あなたの生活設計とキャッシュフローに合う形を選ぶことがいちばん重要です。






