はじめに:FEPIとは?
日本で超高配当ETF「REX FANG & Innovation Equity Premium Income ETF(FEPI)」が購入可能になって2か月。米国発の相互関税による株価下落で市場は打撃を受けていますが、FEPIは安定した分配金を維持できるのか注目です。
FEPIはカバードコール戦略を採用し、FANG銘柄やイノベーション企業に投資するETF。株価上昇よりも高配当を重視する投資家に人気です。本記事では、FEPIの分配金の推移、S&P500やNASDAQ100との関係、分配金が増減する要因をグラフ分析とともに解説します。
FEPIの特徴:カバードコール戦略とは?
FEPIはテクノロジー銘柄の値上がり益を確保しつつ、コールオプションを売却してプレミアム収入を得るカバードコールETFです。市場が横ばいや下落時でも安定した分配金を目指します。高成長のFANG銘柄に焦点を当て、高配当と成長性を両立するのが強みです。
FEPIの分配金が市場下落で減る理由
FEPIの分配金が市場下落時に減少する理由は以下の通りです。
オプション・プレミアムの低下
カバードコール戦略では、コールオプションのプレミアムが分配金の主要な原資。市場が下落するとボラティリティが低下し、プレミアム収入も減少します。
ポートフォリオの価値下落
FEPIの保有銘柄(主にテクノロジー株)が下落すると、ポートフォリオの価値が減少し、配当金やキャピタルゲインが縮小。分配金の原資が圧迫されます。
分配金の持続性への配慮
大幅な市場下落時、運用者は純資産価値(NAV)を守るため分配金を調整する場合があります。
結論:市場下落はプレミアム収入とポートフォリオ価値を減らし、分配金に影響。ただし、カバードコール戦略は下落時のクッション効果を提供します。
指数上昇でもFEPIの分配金が減る理由
NASDAQ100やS&P500が上昇しても、FEPIの分配金が減少する場合があります。その要因は以下の通り。
カバードコールの上昇益制限
指数上昇時、売却したコールオプションが行使され、FEPIは株を固定価格で売却。株価の大幅な上昇益を逃し、分配金の原資が制限されます。
ボラティリティ低下によるプレミアム減少
安定した市場上昇はボラティリティを下げ、コールオプションのプレミアムが縮小。FEPIの分配金に影響します。
ポートフォリオの独自性
FEPIの保有銘柄はNASDAQ100やS&P500と完全には一致しません。指数が上昇しても、FEPIの銘柄が相対的に低調だと分配金が増えにくいです。
運用方針の調整
運用者は市場リスクを考慮し、分配金を保守的に設定する場合があります。
結論:
指数上昇時でも、カバードコール戦略の特性やボラティリティ低下により、FEPIの分配金は連動せず減少することがあります。
FEPIの分配金が増えるタイミング
FEPIの分配金が増える状況を、グラフ分析を基に簡潔に解説します。
市場ボラティリティの上昇
ボラティリティが上がるとプレミアム収入が増え、分配金が上昇。
データ分析:2024年4月~6月の市場下落期(S&P500やNASDAQ100が下落)にボラティリティが上昇した可能性があり、FEPIの分配金は1.09~1.16ドルで推移。
適度な株価上昇
緩やかな株価上昇でキャピタルゲインや配当収入が増加。
データ分析:FEPIの株価が2023年11月~2024年3月に54~56ドルで安定し、FEPIの分配金は1.15~1.20ドルを維持。2024年7月~10月に株価が50.23ドル(8月)から51.54ドル(9月)に回復した際、FEPIの分配金は1.08~1.09ドルで安定。
構成銘柄の好調さ
ポートフォリオ内の銘柄が好調だと配当収入が増加。
データ分析:2023年11月~2024年3月にNASDAQ100が15,000から20,000に上昇。FEPIのFANG銘柄の好調さがFEPIの分配金(1.15~1.20ドル)に寄与。
運用戦略の最適化
運用者がプレミアム収入を増やす戦略を取ると分配金が上昇。
データ分析:2024年7月~10月の市場回復期にFEPIの分配金が1.08~1.09ドルで安定。市場安定でプレミアム収入が増えた可能性あり。
分析のポイント
- ボラティリティ上昇(例:2024年4月~6月)でFEPIの分配金が下げ止まる。
- 適度な株価上昇(例:2023年11月~2024年3月)でFEPIの分配金が安定。
- テクノロジー株好調時(例:2023年11月~2024年3月)にFEPIの分配金が高水準。
- 市場安定期(例:2024年7月~10月)に運用戦略がFEPIの分配金を支える。
結論:
FEPIの分配金はボラティリティ上昇や適度な株価上昇(例:2023年11月~2024年3月、2024年7月~10月)で増加傾向にありますが、下落局面では減少します。
FEPIの分配金と市場の相関性:グラフ分析
FEPIの分配金とS&P500、NASDAQ100の相関をグラフで分析します。
(期間:2023年11月~2025年3月)
FEPI分配金 vs S&P500

データソース:https://jp.investing.com/indices/us-spx-500-historical-data
- 2023年11月~2024年3月:安定
FEPIの分配金(ブルー)は1.15~1.20ドル、S&P500(オレンジ)は4,500~5,000で推移。市場が安定し、FEPIの分配金も安定。 - 2024年4月~6月:下落
S&P500が5,000から4,500に下落。FEPIの分配金は1.20ドル(1月)から1.09ドル(4月)に減少し、市場下落が影響。 - 2024年7月~12月:回復の差
S&P500が5,500~6,000に回復するも、FEPIの分配金は1.08~1.09ドルで停滞。ボラティリティ低下が影響。 - 2025年1月~3月:再下落
S&P500が5,000に下落、FEPIの分配金も0.94ドル(3月)に。市場下落がFEPIの分配金を圧迫。
FEPI分配金 vs NASDAQ100

データソース:https://jp.investing.com/indices/nq-100-historical-data
- 2023年11月~2024年3月:安定
FEPIの分配金は1.15~1.20ドル、NASDAQ100は15,000~20,000で上昇。市場安定でFEPIの分配金も安定。 - 2024年4月~6月:下落
NASDAQ100が20,000から15,000に下落。FEPIの分配金は1.20ドル(1月)から1.09ドル(4月)に減少し、テクノロジー株の下落が影響。 - 2024年7月~12月:回復の差
NASDAQ100が20,000に回復するも、FEPIの分配金は1.08~1.09ドルで停滞。ボラティリティ低下が影響。 - 2025年1月~3月:再下落
NASDAQ100が15,000に下落、FEPIの分配金も0.94ドル(3月)に。テクノロジー株の下落が大きく影響。
分析のポイント
- S&P500との相関:FEPIの分配金はS&P500と緩やかに連動。下落局面(例:2024年4月~6月)で影響大。
- NASDAQ100との相関:FEPIの分配金はNASDAQ100と緩やかに連動。下落時には影響を受けるが、上昇時にはボラティリティ低下で分配金が伸び悩む(例:2024年7月~12月)。
- カバードコール戦略の影響:市場上昇時のボラティリティ低下でFEPIの分配金が伸び悩む(例:2024年7月~12月)。
FEPIの分配金と株価の相関性:グラフ分析
以下のグラフは、FEPIの分配金と株価の推移(2023年11月から2025年3月)を示し、両者の相関性を表したものです。

データソース:https://us.kabutan.jp/stocks/FEPI/historical_prices/daily
- 2023年11月~2024年3月:安定
FEPIの株価は54.02~56.4ドルで推移し、FEPIの分配金は1.15~1.20ドルで高水準を維持。市場が安定しており、株価と分配金が共に堅調でした。 - 2024年4月~6月:下落
株価が56.4ドル(1月)から53.9ドル(6月)に下落。FEPIの分配金も1.20ドル(1月)から1.09ドル(4月)に減少し、市場下落が影響。テクノロジー株の下落が背景と考えられます。 - 2024年7月~12月:緩やかな回復
株価が53.9ドル(6月)から50.23ドル(8月)まで下落後、51.54ドル(9月)へ回復。FEPIの分配金は1.08~1.09ドルでほぼ横ばい。株価は小幅回復したものの、ボラティリティ低下で分配金の伸びが限定的でした。 - 2025年1月~3月:再下落
株価が50.77ドル(12月)から44.04ドル(3月)に下落。FEPIの分配金も1.08ドル(12月)から0.94ドル(3月)に減少。市場全体の下落が株価と分配金に影響しました。
分析のポイント
- 下落時の連動:株価下落(例:2024年4月~6月、2025年1月~3月)でFEPIの分配金も減少。
- 回復時のズレ:株価が小幅回復(例:2024年7月~12月)しても、FEPIの分配金は横ばい。
- 相関性の強弱:下落局面で株価とFEPIの分配金の相関が強い。
- テクノロジー株の影響:テクノロジー株の下落がFEPIの分配金に影響(例:2025年1月~3月)。
まとめ:FEPI投資のポイント
FEPIは高配当ETFとして魅力的ですが、市場環境に影響されます。
- 市場下落時:FEPIの分配金が減少(例:2024年4月~6月)。リスクに注意。
- 指数上昇時:FEPIの分配金が伸び悩む(例:2024年7月~12月)。
- 分配金増加:ボラティリティ上昇や適度な株価上昇(例:2023年11月~2024年3月)が有利。
- 相関性:NASDAQ100と緩やかな連動性。下落時の影響を受けやすいが、上昇時の連動は限定的。
テクノロジー株に依存するFEPIは、市場環境を注視し、NASDAQ100の動向に応じた投資戦略が重要です。筆者も保有する資産の一部として持ち続け分配金を享受していきたいと考えております。