2025年5月、米国ヘルスケア大手ユナイテッドヘルスの株価が急落しました。「ヘルスケア株=安全」という常識は本当に正しいのでしょうか?
本記事ではユナイテッドヘルスの暴落要因を整理し、個別株投資と分散投資のリスク・リターンを比較。さらに、インベスコ世界厳選株式オープンを例に、安定した資産形成の戦略について解説します。
世界中の優良企業に投資するアクティブファンドとは
インベスコ世界厳選株式オープンは、世界中の優良企業に分散投資するアクティブファンドで、投資家にとっては個別株のリスクを抑えながら、グローバルな成長機会を享受できるように設計されています。インデックスでは拾いきれない成長企業や将来性のあるセクターにアクセスできるのが大きな特徴です。
ユナイテッドヘルスはなぜ暴落したのか?
2025年5月中旬、米国ヘルスケア大手ユナイテッドヘルス(UnitedHealth Group)の株価は、年初来から半分近くまで落ち込みました。背景には複数の要因が重なっていました。

出典:Google Finance
米司法省による刑事捜査の報道
5月15日、ウォール・ストリート・ジャーナルは「ユナイテッドヘルスがメディケア・アドバンテージプログラムにおいて不正請求を行っていた可能性がある」と報じました。米司法省は刑事捜査を開始。株価はこのニュースを受けて、わずか1日で約17%も下落しました。
CEOの辞任と業績見通しの撤回
さらに5月13日、CEOのアンドリュー・ウィッティ氏が辞任。同時に2025年の業績見通しも撤回されました。理由は、医療費の増加が想定以上に大きく、収益に深刻な悪影響を与える見込みとなったためです。
事業モデルへの構造的疑念
リスクスコア操作による保険請求の水増し問題が再浮上し、メディケア・アドバンテージ事業そのものへの構造的な疑念が強まりました。
経営への信頼低下
追い打ちをかけるように、2024年末には保険部門のCEOがニューヨークで射殺される事件が発生。経営陣に対する不信感が解消されないまま続き、株価に長期的な重しとなっていました。
ヘルスケア=安全神話を疑う
一般的にヘルスケアセクターは「ディフェンシブ銘柄」とされ、不況時にも需要が減少しにくい分野と考えられています。医療サービスは生活必需であり、景気後退でも売上が比較的安定するためです。
しかし、実際にはユナイテッドヘルスのように、企業固有の不祥事や規制リスクが突如として浮上し、大幅な株価下落を招くこともあります。「ヘルスケア=安全」という思い込みは危険 であることが、今回の事例で明らかになりました。
SOXLのようなセクター集中投資との対比
一方、テックや半導体といったグロースセクターは、常に高いボラティリティを伴うものの、好材料が出れば急騰する可能性を秘めています。

出典:Google Finance
筆者は2025年4月、米国の関税政策により半導体セクターが一時的に下落したタイミングで、半導体3倍レバレッジETF「SOXL」を購入しました。その後、5月17日時点で価格はすでに約2倍まで回復しています。
このように、セクター集中投資やレバレッジETFは短期的には大きなリターンを得る可能性がありますが、それと引き換えに精神的な浮き沈みも非常に大きいのが実態です。
投資リスクのピラミッドを意識する
- 個別株投資(最もリスクが高くリターンも大きい)
- セクター集中投資(SOXLなど)
- 米国株中心のインデックス投資
- 世界分散型ファンドやETF(最もリスクが低く安定的)
右に行くほどリスクは低下し、同時にボラティリティも穏やかになります。つまり、投資家がどの位置を選ぶかで、メンタルの安定度や投資継続力は大きく変わります。
分散投資がもたらす「穏やかなメンタル」
個別株を保有していると、今回のユナイテッドヘルスのように突発的な悪材料で心が大きく揺さぶられます。筆者が個別株投資を避けている理由は、まさにこの「精神的負担」を減らすためです。
- 個別株投資=魚釣り(釣果は運やタイミングに左右され、ゼロの可能性も)
- 投資信託・ETF=市場で魚を買う(安定的に成果を得られる)
忙しい現役世代にとっては、プロに任せるアプローチの方が現実的であり、精神的にも安心できます。
インベスコ世界厳選株式オープンの実際のパフォーマンス
2025年4月16日〜5月16日の基準価額の推移は以下の通りです。
- 4/16:基準価額 8,078円(分配金再投資後)
- 5/16:基準価額 8,727円
- 1ヶ月リターン:約 +8.03%
同期間における S&P500(eMAXIS Slim 米国株式) のリターンは約 +8.7%。非常に近い水準で推移しました。

出典:マネックス証券
もしユナイテッドヘルスの急落がなければ、インベスコ世界厳選株式オープンがS&P500を上回っていた可能性も十分にあります。これは複数セクターに分散されていたからこそ、大きなマイナス要因の影響を相対的に抑えられたことを意味します。
松井証券の投信残高ポイントサービスでコストを軽減
アクティブファンドは信託報酬が高めですが、工夫次第で負担を抑えることができます。
- 松井証券の「投信残高ポイントサービス」では、投信残高に応じてポイントを還元
- 還元分で信託報酬を実質軽減できる
- ケースによっては実質コストが半額近くになることも可能
例えば:
- インベスコ世界厳選株式オープン(年1.903%)
- アライアンス・バーンスタイン(年1.727%)
こうした高コストファンドでも、ポイント還元を使えば個別株とのコスト差は小さくなります。さらに筆者は松井証券で得たポイントをdポイントに交換し、JALマイルに移行することで旅行費用に充当しています。

まとめ:退屈さの中にこそ投資の強さがある
- ユナイテッドヘルスの暴落は「個別株リスク」の典型例
- 分散投資は退屲に見えても、投資家のメンタルを守り長期投資を可能にする
- 高コストファンドでもポイント還元で実質負担を軽減できる
結局のところ、「退屈であること」こそが投資の成功に必要な要素 です。派手さよりも堅実さを選ぶことで、長期的な資産形成は安定して進みます。