FIRE生活で最も重要なのは、定期的な収入源の確保です。本業と副業を併用して収入を増やしてきた人は、本業をやめるだけで自然とサイドFIREに移行できます。しかし、本業のみで収入を得ていた場合、FIRE移行後の収入源の確保が大きな課題となります。
資産の取り崩しと短時間労働を組み合わせるのが最適
FIRE生活に移行すると、これまで通勤や仕事、社外での付き合いに費やしてきた時間を、誰にも縛られず自由に使えるようになります。
趣味や家族との時間に没頭したり、これまで挑戦できなかった仕事に取り組んだりと、選択肢が広がります。
一方で、全く仕事をしない場合は、生活費を資産から計画的に取り崩したり、高配当株の配当金を活用して、資産が枯渇しないように運用する必要があります。
資産運用だけで最後までいけるのか?
しかし、資産運用だけでFIRE生活を乗り切れるかという不安は常にあります。人生を豊かにするためには、思い出や経験に適切にお金を使うべきですが、資産が減る恐怖から財布のひもが固くなってしまい、資産形成期よりも支出を控える可能性も考えられます。
そのため、短時間でも労働を続け、社会とのつながりを保ちながら定期的な収入を得る方が、FIRE生活の初期段階ではベターな選択肢だと考えます。
資産の持続性をシミュレーションで確認
そこで、男性の健康寿命とされる73歳までの30年間、資産が持つかどうかをモンテカルロシミュレーションで試算しました。
このシミュレーションでは、変動要素にランダムな値を導入し、何度も計算を繰り返すことでリスクを分析し、その結果がどの程度の確率で発生するかを評価します。
少しの労働収入がFIRE成功率を大幅に高める。
以下の前提条件でモンテカルロシミュレーションを実施したところ、30年後に資産が残る確率は67%という結果が出ました。
- 年齢 43歳
- 運用期間 30年
- 年利回り 5%
- 資産 10,500万円
- 生活費 40万円/月 年間480万円
- 30年後に資産が残っているFIRE成功率 67%
20年を超えたあたりから急激にFIRE成功率が下がっています。
ただし、月40万円という生活費には教育費や住宅ローンが含まれており、これらの支出が将来的に減少するため、実際に必要な金額は徐々に下がっていきます。
さらに、年金受給を繰り下げることで60歳から安定したキャッシュフローが得られることや、63歳には住宅ローンが完済し、70歳を超える頃には体力の衰えによって支出も減少していくことが予想されます。
これらを考慮すると、FIRE成功率はもう少し高くなると見込んでいます。
とはいえ、現状では3回に1回は資産が不足するリスクがあり、労働収入なしで完全にFIRE生活へ移行する自信はまだありません。そこで、年4.5%の取り崩しを行った場合のシミュレーションを行いました。
月の生活費が平均30万円台前半になると想定し、予備費も含めて月40万円の取り崩しをシミュレーションした結果を以下に示します。
月10万円程度の労働収入を得た場合のシミュレーション
同じ条件で、月に10万円の労働収入を得ると仮定し、年間の生活費を360万円に設定してシミュレーションを行ったところ、成功率は約90%に大幅改善しました。
さらに、シミュレーションの中央値では、30年後に資産は約1億2800万円となり、逆に「使い切れないリスク」が出てくる可能性があります。
そのため、資産の推移を見ながら支出額を適切に調整していきたいと考えています。
ちなみに、下位25%のケースでは約3400万円の資産が残るとされており、73歳時点でこれだけの資産があれば大きな問題はないと考えています。
※FIRE成功率シミュレータより引用 https://fire.helve-blog.com
定期収入をどう確保するか
月10万円の定期収入を得るにしても、大きな組織に属して体力や気力を消耗するような働き方はもう避けたいと考えています。自分のペースで納得のいく仕事を続けたい、これが私の大前提です。
手っ取り早くシンプルな方法として、短時間労働やギグワーク(ウーバーイーツやタイミーなど)、派遣やアルバイトで収入を得ることが考えられます。
しかし、FIREを達成した今、お金を最優先するのではなく、これまで縁がなかった興味のある分野に挑戦したり、少額でもフリーランスとして収入を得る経験を積みたいと思っています。
自分が楽しみながら収入を得られれば、きっと幸福度も高まるはずです。
会社の看板なしでお金を稼ぐ
収入が小さくても複数の収入源を持っておけば、たとえ1つの仕事がなくなっても他の収入でカバーできます。
株式投資における「1つのかごに卵を盛るな」という格言のように、収入源を分散することでリスクを抑えることができると考えています。
これまでの経験を活かした業務委託、情報発信、社会とのつながりを感じられる仕事を組み合わせることで、安定したキャッシュフローを構築していきたいです。
変化のない毎日に少しだけ刺激を加える
会社員時代には、「もう仕事なんてしないで、のんびり暮らしたい」と強く思っていました。おそらく、このブログを読んでいる方の中にも同じように感じている方は多いでしょう。
しかし、実際には、有給消化の2か月間ですら日々マンネリを感じ、「どうやってこの時間を過ごそうか」と考えるようになりました。
時間がありすぎると、余計なことを考えたり、ネガティブな思考に陥りがちです。
FIREをどのタイミングで達成するかにもよりますが、私にとってはメンタルコントロールとキャッシュフローの確保が重要な要素です。
この2つをうまく両立させるためには、心身に負担をかけない程度の短時間労働が理想的だと今は考えています。
サラリーマンとしての本業以外に収入源を持たない方がFIREに挑む際、少しでもこの考え方が参考になれば幸いです。