投資信託だけで資産形成は十分なのか?
それとも、個別株も取り入れたほうが将来的なリターンは高まるのか?
本記事では、筆者自身の投資歴や米国株との出会いをベースに、「投資信託を中心としつつ、個別株をどう組み合わせるか」について、実体験に基づいた考察をお届けします。
投資スタートから転機まで:筆者の経験談
筆者が投資を始めたのは2010年。当初はFX取引でしたが、資金管理の甘さから退場寸前に。そこから日本株の現物投資へとスタイルを変えたものの、最初の5年間は資産がほとんど増えず、苦しい時期が続きました。
そんな中、転機となったのが米国株との出会いです。
米国企業で働いていたこともあり、その企業体力や市場競争力に日々触れるなかで、「これは投資対象としても魅力がある」と直感。徐々に日本株を減らし、米国株へと軸足を移しました。
さらに、S&P500構成企業への転職によって自社株を給与の一部として保有する機会を得たことが、資産形成の大きなブーストとなりました。
投資信託×個別株は“現実的に再現できる戦略”か?
自社株を通じた成功は偶然の側面が強く、誰でも真似できるわけではありません。しかし、投資信託をメインにしつつ、成長可能性の高い個別株を少しだけ取り入れることで、資産形成に再現性のある加速装置を組み込むことは可能です。
① 個別株を混ぜるならどんな銘柄がいいのか?
個別株といっても、日本株、米国株、新興国株と選択肢は広大です。その中で筆者が注目しているのは、米国のハイテク・グロース銘柄です。
理由:
- 世界中の投資マネーが米国市場に流入
- 英語圏発のサービスはグローバルに広がりやすい
- 過去にSaaS、AI、半導体などで飛躍した銘柄が集中
たとえばFANG+に採用されているような企業群(Apple、Amazon、Meta、Alphabetなど)や、最近ではNVIDIAやPalantirといったAI関連株もその典型例です。
② 投資信託と個別株の理想的な比率は?
筆者は現在、S&P500などのインデックス投資信託をコアに、高配当型のアクティブファンドやカバードコールETFをサテライトとして組み合わせた運用を行っています。
現時点では個別株の保有割合はごくわずかですが、資産形成初期や伸ばしたい局面においては「個別株5〜10%」をサテライトに据える戦略が効果的だと考えています。
③ 個別株はどのように買うのが良いか?
短期のタイミングを図るのは困難なので、少額で定期的に積み立てる手法(ドルコスト平均法)が無理なく続けやすく、おすすめです。
具体的には:
- 毎月1銘柄ずつ、一定額を買い増す
- 高値掴みを避けるため、一括ではなく分割購入
- 一度買ったら“気絶投資”くらいの感覚で放置
④ どのくらいの期間保有すべきか?
個別株の魅力は「長期保有で得られる圧倒的な成長」にあります。
🔍 たとえばNVIDIAの5年チャート

- NVIDIA:+1,541.52%
- S&P500:+97.22%
AI需要の爆発を受け、たった5年で15倍超の成長を遂げました。
🔍 さらにPalantirも注目株のひとつ

- Palantir:+1,321.09%
- S&P500:+97.22%
パランティアもAI・データ分析という成長分野で存在感を高め、13倍以上のパフォーマンスを実現しました。
💡 少額でも長期なら大きなインパクトに
たとえ個別株を全体の10%しか持たなかったとしても、仮にその銘柄が10倍以上に成長すれば、ポートフォリオ全体の資産を2倍に押し上げる力を持ちます。
このように、個別株は「たくさん持つ」ことでリターンを得るのではなく、“時間を味方につけて持ち続ける”ことこそが成功の鍵です。リスクを過度に取るのではなく、リスクを抑えたままリターンを最大化する時間戦略が、インデックスとの組み合わせにおける醍醐味といえるでしょう。
📌 長期保有の鍵は「信じて待つ力」
重要なのは、「上がるかどうか」ではなく「成長の可能性を信じてホールドし続けられるか」という姿勢です。短期的な値動きに振り回されず、確信の持てる数銘柄を選び、数年間静かに持ち続けることが、資産形成における大きな差につながります。
⑤ 個別株の出口戦略はどう考えるべきか?
個別株はボラティリティも高いため、「どこかで利確する」意識は重要です。
筆者の場合は:
- 一定の利益(例:+100%)が出たら部分売却
- 利益分は投資信託や他の資産にリレー
- 下がったら再エントリーもあり
このような“出口戦略”を設けておくことで、利確タイミングを逃さずに済みます。とはいえ、あくまで成長余地がある銘柄を長期で持ち続けることが最優先です。
仮に、個別株を全体資産のたった10%だけにとどめていたとしても、その銘柄が10倍になればポートフォリオ全体を約2倍に押し上げるインパクトがあります。つまり、無理に量を増やす必要はなく、「保有する時間こそが最大の武器」なのです。
こうした視点で出口戦略を考えると、「どこで売るか」だけでなく「どれだけ長く保有できるか」もまた、非常に重要な判断軸になります。
筆者の現在の投資スタイルと今後の方針
現在の投資スタイルは以下のとおりです:
- コア:S&P500インデックスファンド
- サテライト:
– インベスコ世界厳選株式オープン(高配当アクティブファンド)
– カバードコールETF(AIPI、CEPI、FEPI)
– 日本株の優待銘柄
– 将来FANG+に採用されるような米国個別株を2〜3銘柄を新規購入予定
大きく個別株を買い増す予定はありませんが、資産全体の5%を目安に、選抜した個別成長株を“スパイス枠”として保有し、長期での資産増を狙っています。利益が出たら売却し、またチャンスがあれば買い直すというスタイルを想定しています。
まとめ:投資信託×個別株の“いいとこ取り”戦略
項目 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
投資信託(コア) | 分散・安定・長期保有向き | リターンは平均的 |
個別株(サテライト) | 高成長の可能性 | 銘柄選定・メンタル管理が難しい |
個別株はボラティリティも高く、リスクもあります。しかし、全体の5〜10%程度に抑えながら長期保有を続けることで、資産全体に大きなプラス効果を与えることができるのです。
インデックス投資で土台を築き、そこに個別株という“スパイス”を少しだけ加える。リスクを取りすぎず、でも楽しみながら資産形成を加速させるこの戦略は、筆者自身の実体験からもおすすめできます。
資産運用は、「退屈な継続力」と「少しの冒険心」のバランスが大切。
投資信託×個別株の組み合わせは、その“ちょうどいい挑戦”の形かもしれません。