為替リスクに強い米国株長期投資:ドル建てETFとインベスコ+ゴールドのポートフォリオ

投資戦略

米国株投資をしていると、為替の影響は避けられません。しかし、為替の変動は短期的には資産価値に影響を与えるものの、長期的視点で見ればそのインパクトは薄れ、気にしすぎる必要はないというのが私の考えです。

大切なのは、「いつから資産を使うのか」を明確に計画し、日々の値動きに一喜一憂しないこと。ドル資産を保有したり、現金比率を調整したり、さらにドル資産以外の選択肢を取り入れることで、為替リスクへの対策がより柔軟になります。

本記事では、この視点を中心に、為替と株価の関係や具体的な戦略を解説します。


為替変動の短期的な影響とそのシミュレーション

2025年3月現在、ドル円は146~150円程度で推移しています。例えば、日本銀行が利上げし、米FRBが利下げを続けた場合、円高が進み120円まで下落する可能性もあります。

この場合、ドル建て資産の円換算価値は約20%減少します。さらに、S&P500が現在の5,700ポイントから1年前の5,200ポイントまで下落すると、為替と株価の下落が重なり、円建てで30%以上の資産減少となる計算です。これはコロナショック級のインパクトです。

※出典:Google finance

しかし、これはあくまで一つのシナリオ。FRBの利下げは株価上昇を後押しする可能性が高く、円高による下落を相殺するケースも考えられます。時間が経過すれば、株価は成長を続け、為替変動の影響は気にならない水準まで薄れるでしょう。


為替が怖いならドル資産を活用しよう

私は長期的には円安傾向が続くと予想していますが、生活費や急な出費は円で賄う必要があるため、円預金もある程度保有しています。

一方で、ドルが安い局面では、米国のカバードコールETF(例: FEPI、AIPI、CEPI)を買い増し、次のドル高に備える戦略を取っています。これにより、為替リスクを軽減しつつ、株価上昇と為替差益の両方を狙えます。

では、日本株はどうでしょうか?私は今後も世界経済は米国株を中心に動くと見ており、日本企業でも海外売上比率が高い優良銘柄は円高で業績が圧迫されるリスクがあります。結局、為替リスクから完全に逃れるのは難しいのが現実です。


ドル資産以外の選択肢をポートフォリオに

為替リスクを抑えつつ安定感を求めるなら、ドル資産以外もポートフォリオに組み込むのが有効です。私が保有している「インベスコ世界厳選株式オープン(為替ヘッジなし)」は、米国株が約50%、欧州を中心としたその他の国が約50%という構成で、通貨分散が効いています。

米国経済やドルが低迷しても、分配金を維持したり、資産の下落を和らげたりする効果が期待できます。

また、ドルが低迷する局面で注目したいのがゴールドです。金は伝統的に安全資産とされ、ドル安時に価値が上がりやすい特徴があります。ちなみに2025年3月現在はゴールド価格が最高値を更新しています。

これらをポートフォリオに数パーセント加えるだけで、心理的な安心感が得られるだけでなく、値動きの異なる資産でリスクを分散できます。さらに、高値で売却し、安くなったドル資産を買い増すことで、次の上昇局面での値上がり益を加速させる戦略も可能です。


ドル円とS&P500の過去の動きを振り返る

為替と株価の関係を理解するために、過去を振り返ってみましょう。

  • 5年前(2020年3月): コロナショックでドル円は107円台、S&P500は2,304ポイントと現在の半分以下。

※出典:Google finance

  • 約30年前(1996年11月): ドル円は113円台、S&P500は748ポイントと現在の8分の1程度。

※出典:Google finance

このデータからわかるのは、為替はレンジ内で変動する一方、株価は長期的な上昇トレンドを描く傾向がある点です。為替は相対価値であり、通貨自体の成長はありませんが、株価は企業の利益成長や経済拡大に連動して上昇します。そのため、時間が経つほど為替の影響は相対的に小さくなります。


為替と株価の違いを理解する

為替は相対価値、株価は成長価値

  • 株価: 企業価値や経済成長、インフレ、技術革新を反映し、長期的に上昇する可能性があります。
  • 為替: ドル円は米ドルと日本円の相対的な価値を示すもので、一方が無限に強くなり続けることはありません。購買力平価(PPP)や金利差などの均衡点に収束する傾向があります。

経済の均衡メカニズム

  • 貿易収支: 円安が進むと日本製品が安くなり輸出が増加、円高圧力が生じます。逆に円高では輸入が増え、均衡が回復します。
  • 金利差: 米国の金利が日本より高い場合、ドル高・円安が進みますが、金利差が安定すると為替もレンジ内に落ち着きます。
  • 中央銀行の介入: 2022年のように、日銀が円安抑制のために介入する事例もあり、為替の急変動が抑えられます。

成長要因の不在

株価は企業の利益成長に支えられますが、為替は通貨供給量や経済成長が一方的なトレンドを生むわけではありません。米ドルと円は先進国通貨としてインフレも比較的安定しており、極端な変動は起きにくいです。


結局どうすればいいのか?

為替や株価の変動に振り回されないためには、次の3つが鍵です。

  1. 資産を使うタイミングを計画する: 今すぐ使う予定がないなら、日々の値動きを気にせず長期視点で投資を続ける。
  2. ドル資産を活用する: ドル安時にドル建て資産(例: FEPI、AIPI、CEPI)を買い増し、次の上昇局面で株価と為替差益の両方を享受する。
  3. ドル以外の資産で分散する: インベスコ世界厳選株式オープンやゴールドを数パーセント組み込み、通貨リスクを分散。値上がり時に売却し、ドル資産を買い増すことで成長を加速させる。

私はカバードコールETFをドルで保有し、配当もドルで受け取るポートフォリオを構築中です。一方、すでに資産を使うフェーズにある方は、現金比率を高めておくことをおすすめします。為替や株価が下落しても、資産を取り崩さずに済むバッファーを確保できます。


まとめ

為替の動きは短期的には気になるものの、長期的に見れば株価の成長がその影響を上回ります。大事なのは、「いつ資産を使うのか」を明確にし、過度に気にしない姿勢を持つこと。

ドル資産や現金比率の調整に加え、インベスコ世界厳選株式オープンやゴールドのようなドル以外の資産を活用すれば、リスク分散と心理的な安定が得られます。あなた自身の投資プランに照らし、柔軟で冷静な判断を重ねてください。