この記事を書いた人:どらじ 2010年から投資を開始。震災で一度退場後、インデックス投資・自社株の長期保有で資産を積み上げ、2024年に40代でFIRE達成(総資産1億円超)。現在は地方で家族と暮らしながら、分配金を活用した資産運用を継続中。Xフォロワー11,700人。
この記事でわかること
- 生命保険(変額保険・ドル建て終身)をやめた具体的な理由と判断基準
- 掛け捨て保険とNISAの正しい役割分担
- 必要保障額の計算方法(逓減型という選択肢)
- 教育費をNISAで準備した場合のシミュレーション
- 資産がいくら以上なら生命保険は不要か
1. 保険と投資を「混ぜた」10年間の代償
2010年代前半、私は生命保険をほとんど理解していないまま契約しました。
第一子が生まれた28歳のとき、「もし自分に何かあったら」という不安が一気に膨らみました。そこで保険の営業マンに相談し、勧められるまま変額保険とドル建て終身保険を契約。どちらも生命保険の一種ですが、投資機能を組み込んだ複雑な商品です。
当時は「保険料が戻ってくる」「投資もできる」という言葉に安心感を覚えていました。
結果として、約10年間、必要以上の保険料を払い続け、資産形成の効率を大きく落としていたと気づいたのは、投資の知識がついてからです。
その後NISAやインデックス投資を学んだことで、保険との役割の違いが明確になりました。長期投資の基本については「長期投資の始め方と続け方|初心者が新NISA・iDeCoで資産を増やす完全ガイド」で詳しく解説しています。
これは私の失敗談ですが、同じような経緯で保険に入っている方は少なくないと思います。
2. 変額保険・ドル建て終身保険を選んだ当時の理由
当時の自分がこの2つを選んだ理由はシンプルです。
「掛け捨ては損」という思い込みがあった
保険料が全額消えてしまう掛け捨てより、返戻金のある貯蓄型の方が得に見えました。今思えば、これは金融リテラシーが低かったことの表れです。
変額保険を選んだ理由
- 保険料を投資信託で運用するため、増える可能性がある
- 保障と資産形成が同時にできると説明された
- 実際:手数料が高く、純粋なインデックス投資より大幅に非効率
ドル建て終身保険を選んだ理由
- 円安になれば保険金が増える
- 死亡保障+資産形成の一石二鳥に見えた
- 実際:為替リスクと複雑な商品設計で、管理が難しかった
営業マンの言葉をそのまま受け入れ、利回りとコストを自分で比較しなかった。それが最大の失敗でした。
3. なぜ「保険と投資のセット」は非効率なのか
投資を学んでから、変額保険とドル建て終身の問題が数字でわかるようになりました。
変額保険の実態
変額保険は、運用コスト(保険関係費)が年率2〜3%程度かかります。同じ資産をインデックスファンド(信託報酬0.1%前後)で運用した場合と比較すると、10年・20年のスパンで大きな差が生まれます。
| 条件 | 変額保険(年率コスト2.5%想定) | インデックス(年率コスト0.1%) |
|---|---|---|
| 月3万円・20年積立・年7%想定 | 約600万円 | 約780万円 |
※あくまで概算です。実際の変額保険の条件によって異なります。
インデックスファンドの複利効果と長期投資の仕組みについては「長期投資の始め方と続け方」で詳しく解説しています。
本質的な問題
「保障」と「資産形成」を一つの商品でまかなおうとすると、どちらも中途半端になります。
- 保障が必要な時期は限られている(子どもが独立するまでなど)
- 資産形成は長期で複利を活かすほど効果が出る
- この2つを「セット」にすると、どちらも本来の役割を果たせなくなる
正解はシンプルです
保険は保障のためだけに。投資は資産形成のためだけに。
4. 必要保障額の正しい考え方:逓減型という答え
生命保険の本来の役割は、「自分が死亡したとき、残された家族が生活に困らないようにする」ことです。
必要保障額の計算式
必要保障額 = 家族の生活費(年間)× 末子が18歳になるまでの年数
− 配偶者の収入・貯蓄・公的保障
例えば「年間300万円の生活費、子どもが現在5歳」なら:
- 300万円 × 13年 = 3,900万円が一つの目安
- ただし妻の収入や貯蓄、遺族年金があれば減額できる
重要なのは「ライフステージで必要保障額は変化する」という視点です
- 子どもが小さい時期 → 保障が手厚く必要
- 子どもが独立・資産が積み上がるにつれ → 必要保障は減っていく
私が選んだのは逓減定期保険
逓減型は、時間が経つにつれて保険金が減っていく仕組みです。
- 子どもが小さい時期 = 保障大、保険料比較的低い
- 資産が積み上がるにつれ = 保険の役割が自然に縮小
- 掛け捨てなのでコストが低い
最初からこの選択ができていれば、変額保険やドル建て終身に費やした保険料を、もっと早くNISAの積立に回せていたはずです。
5. 教育費:保険 vs NISA シミュレーション比較
教育費の準備に「学資保険」を使うべきか、NISAを使うべきか。これも多くの方が迷う問題です。
教育費の現実(文部科学省「子供の学習費調査」参照)
| 進路 | 幼稚園〜大学の総費用目安 |
|---|---|
| オール公立 | 約1,000万円 |
| 大学のみ私立 | 約1,200〜1,500万円 |
| オール私立 | 約2,000万円超 |
「どの進路を想定するか」で必要額が大きく変わるため、まず家庭の方針を決めることが先です。
学資保険とNISAの比較
| 比較項目 | 学資保険 | NISA(積立) |
|---|---|---|
| 元本保証 | あり(一部商品) | なし |
| 期待利回り | 0.1〜0.3%程度 | 長期なら年4〜7%想定 |
| 流動性 | 低い(途中解約で元本割れリスク) | 高い(いつでも出金可能) |
| 非課税枠 | 満期金に課税あり | 運用益が非課税 |
シミュレーション:月3万円を13年間積み立てた場合
- 学資保険(利回り0.3%):約476万円
- NISA(想定利回り5%):約636万円
- NISA(想定利回り7%):約752万円

※NISAの運用成果は保証されません。あくまでシミュレーションです。
私の判断
リスクがゼロの商品は存在しません。学資保険の「元本保証」も、インフレリスクや機会損失を考えれば必ずしも安全ではない。
13年以上の長期積立なら、インデックス型のNISAを活用する方が期待値は高いと考えています。万一の場合のリスクは、掛け捨て定期保険でカバーする。
私自身がFIRE後もNISAを活用した実績については「新NISA×S&P500一括投資で+38%|FIRE後の実践型運用戦略」をご覧ください。
この役割分担が、私の結論です。
6. 2024年、大半を解約した判断と基準
2024年、FIREを達成し総資産が1億円を超えたタイミングで、生命保険をすべて解約しました。1億円FIREに至るまでの資産計画と収支シミュレーションは「1億円で叶えるリアルな資産計画と収入・支出シミュレーション」で詳しく公開しています。
解約を決めた判断基準
「資産が、保険の代わりになった」
生命保険の役割は「自分が死んだとき、残された家族が困らないようにすること」です。
もし資産が十分にあれば、私が死亡しても家族は投資資産から生活を続けられます。つまり、資産そのものが「自己保険」の役割を果たすようになる。
私のケースでは、以下の条件が揃ったときに「不要」と判断しました。
- 総資産が家族の生活費(年間)× 30年分を超えた
- 子どもが独立に近づき、必要保障額が大幅に縮小した
- 分配金収入が生活費をカバーできるようになった(詳細:分配金1,000万円を突破。FIRE後にたどり着いた「使いながら増やす」資産設計)
解約した保険
- 変額保険:解約
- ドル建て終身保険:解約
- 学資保険:解約
残した保険
- 火災保険
- 自動車保険
重要:資産額より「キャッシュフロー」が判断基準
「いくら以上なら不要」という金額より、「定期的な収入が生活費をカバーできているか」が実際の判断基準でした。
7. 資産形成期の方へ:まず現状を整理することから
資産形成の途中にいる方、特に以下のような状況の方には、一度保険を整理することをお勧めします。
- 変額保険・ドル建て終身・学資保険に入っているが、よく理解していない
- 保険とNISAの役割分担が整理できていない
- 子どもが生まれたタイミングで、言われるまま契約した
- 保険料が毎月の家計を圧迫していると感じている
私自身は、投資の知識がついてから自分で解約・見直しをしましたが、当時プロのFPに相談できていれば、もっと早く整理できていたと思います。
今は無料でFPに相談できるサービスがあります。保険証券を持参して「この保険は本当に必要か」を聞いてみることが、資産形成の大きな一歩になるかもしれません。
8. まとめ:役割を分ければ判断はシンプルになる
この記事で伝えたかったことを一言にまとめると:
保険は「万が一の保障」、投資は「未来の資産形成」。この2つは、別々の道具で設計する。
- 掛け捨て定期保険で必要な保障を最小コストで確保する
- 浮いた保険料をNISAの積立に回す
- 資産が積み上がれば、保障の必要性が自然に下がっていく
- FIREを達成した今は、資産そのものが「保険」になっている
この設計が整ってから、お金に対する不安が大きく減りました。
保険は「不安を払拭するためのお金」ではなく、「必要なリスクに対応するための道具」です。
感情ではなく、数字と役割で整理する。それだけで、家計の見通しは大きく変わります。
チェックリスト:今の保険、見直してみてください
- 今の生命保険の必要保障額を計算したことがあるか
- 変額保険・貯蓄型保険の手数料を確認したことがあるか
- 掛け捨て定期保険という選択肢を検討したことがあるか
- NISAで教育費・老後資金を積み立てているか
- 年に一度、保険の見直しをしているか
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免責事項 本記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としています。特定の金融商品・保険商品の推奨ではありません。投資・保険の判断はご自身の責任で行ってください。シミュレーションは一例であり、将来の成果を保証するものではありません。


