「掛け捨ては損。返戻金のある保険の方が得ですよ」
この一言に安心し、私は28歳のときに変額保険と終身保険を契約しました。子どもの教育費も保険で準備しようと、養老保険も追加。
月3万円からスタートし、徐々に増額しながら、約14年間払い続けました。
転機は、NISAとインデックス投資を本格的に学んだときです。
コストを計算した瞬間、気づきました。14年間で支払った保険料と、もしNISAで運用していたら得られたはずの金額。元本は戻ってきた。でも、それだけでした。
2024年、総資産が1億円を超えFIREを達成したタイミングで、変額保険・終身保険・養老保険をすべて解約しました。
この記事では、実際の払込金額・解約返戻金・機会損失の試算を含めて、私がやった保険見直しの全プロセスを公開します。
この記事でわかること
- 変額保険・終身保険・養老保険を14年間払い続けた実際のコストと機会損失
- 解約前に必ず確認すべき「解約控除」の落とし穴
- 解約時にかかる税金(一時所得)の計算方法
- 掛け捨て保険とNISAの正しい役割分担
- 必要保障額の計算方法と逓減型という選択肢
- 学資保険 vs NISA シミュレーション比較
- 資産がいくらあれば生命保険は不要になるか
この記事を書いた人:どらじ
2010年から投資を開始。震災で一度退場後、インデックス投資・自社株の長期保有で資産を積み上げ、2024年に40代でFIRE達成(総資産1億円超)。月100万円の分配金収入で地方生活を継続中。Xフォロワー11,700人。サンワード証券セミナー講師(2026年)。
1. 私が変額保険・終身保険・養老保険を選んだ理由
28歳、第一子誕生。保険の営業担当者に相談しました。
当時の私には「掛け捨ては損」という思い込みがありました。保険料が全額消えてしまうより、戻ってくる商品の方が得に見えたのです。今思えば、典型的な金融リテラシーが低い状態です。
変額保険を契約した理由
- 「保険料を投資信託で運用するので増える可能性がある」
- 「保障と資産形成が同時にできる」と説明された
- 営業担当者への信頼感
終身保険を契約した理由
- 死亡保障が一生涯続く安心感
- 解約返戻金があるため「貯蓄代わり」になると説明された
- 「相続対策にもなる」という説明
養老保険を追加した理由
- 子どもの教育費を学資保険の代わりに準備したかった
- 満期金が受け取れるため、目的を決めた積立に向いていると説明された
- 「元本保証に近い」という安心感
いずれも、コストと利回りを自分で比較することなく契約しました。これが最大の失敗でした。
2. 14年間で、実際にいくら払ってどれだけ戻ってきたか
当時の契約書や明細は手元に残っていないため、正確な数字での再現は難しい状況です。記憶と解約時の書類から把握している範囲でお伝えします。
契約していた保険の種類
子どもの教育費準備も兼ねて、以下の3本を組み合わせて運用していました。
- 終身保険
- 変額保険
- 養老保険
払込期間は約14年間。最初は月3万円からスタートし、子どもの成長や収入の増加に合わせて徐々に増額し、最終的には月10万円前後まで引き上げていました。
14年間の総払込保険料は概算で約1,000万円。解約返戻金も約1,000万円でした。
結果としては「トントン」です。14年間払い続けて、戻ってきた金額はほぼ払い込んだ額と同じ。利益はゼロ、元本は守られた、という状態でした。
「1,000万円戻ってきたなら損じゃないのでは?」
解約したとき、頭の片隅にそういう気持ちもありました。
ただ、問題は直接的な損失ではありません。機会損失です。
同じ金額をインデックス投資(年率5%想定)で積み立てていた場合の試算
月3万円スタートで月10万円まで段階的に増額、平均月約6万円・14年間の積立として試算しました。
| 結果(概算) | |
|---|---|
| 14年間の保険払込(実績) | 約1,000万円払込 → 返戻金 1,000万円(利益ゼロ) |
| 同額をNISA・インデックスで運用(年率5%想定) | 約1,450万円 |
| 機会損失 | 約450万円 |
※シミュレーションは概算です。実際の運用成果を保証するものではありません。
元本は守られた。でも14年間で約450万円分の「増える可能性」を捨てていた。これが、保険と投資を混ぜたことの実質的なコストです。
3. なぜ「保険と投資のセット」は非効率なのか
数字で見れば、理由は明快です。
変額保険には、通常の投資信託にはない費用が上乗せされています。
- 保険関係費:死亡保障の維持・管理コスト(年率1〜2%程度)
- 資産運用関係費:投資信託の信託報酬相当(年率0.3〜1%程度)
- 解約控除:早期解約時に返戻金から差し引かれる手数料
これらを合計すると、年率2〜3%程度のコストがかかります。
インデックスファンドとのコスト比較
| 商品 | 年率コスト(概算) |
|---|---|
| 変額保険 | 2〜3% |
| インデックスファンド(eMAXIS Slim等) | 0.1%前後 |
| 差 | 約2〜2.9% |
月3万円・20年積立・運用利回り7%想定で試算すると:
| 最終積立額(概算) | |
|---|---|
| 変額保険(年率コスト2.5%) | 約600万円 |
| インデックスファンド(年率コスト0.1%) | 約780万円 |
| 差額 | 約180万円 |
20年で180万円の差。これが「保険と投資を混ぜたコスト」です。
保障と資産形成を1つの商品でまかなおうとすると、どちらも中途半端になります。
- 保障が必要な期間は限られている(子どもが独立するまで、など)
- 資産形成は長期複利を活かすほど効果が出る
- この2つをセットにすると、どちらも本来の役割を果たせない
保険は保障のためだけに。投資は資産形成のためだけに。
これが、14年間の失敗から学んだシンプルな結論です。
インデックスファンドの複利効果と長期投資の仕組みについては「長期投資の始め方と続け方|初心者が新NISA・iDeCoで資産を増やす完全ガイド」で詳しく解説しています。
4. 変額保険を解約する前に必ず確認すること:解約控除の落とし穴
変額保険の解約を検討している方に、最初に伝えたいことがあります。
解約控除とは何か
多くの変額保険には、契約から一定期間内(多くは7〜10年以内)に解約すると、解約返戻金から「解約控除」が差し引かれる仕組みがあります。
解約返戻金が100万円のとき、解約控除が15万円あれば手元に残るのは85万円です。
私が実際に解約したときの経験
解約手続きの際、担当者から解約控除について事前に積極的な説明はありませんでした。自分から確認を求めて、はじめて金額を教えてもらいました。
解約を決めたら、必ず以下を書面で確認してください。
- 現時点の解約返戻金(変額保険は運用状況で変動します)
- 解約控除の有無と金額
- 手続きにかかる日数
終身保険・養老保険の注意点
終身保険や養老保険も、早期解約では元本を下回るケースがあります。特に契約から年数が浅い場合は、解約返戻金が払込保険料を大きく下回ることがあるため、加入年数と解約返戻金の関係を必ず確認してください。
5. 変額保険を解約したら税金はどうなるか
実際に解約したFIRE生活者として、特に重要だと感じた点が税金です。
変額保険の解約返戻金にかかる税金
変額保険で利益が出ている場合、解約返戻金は「一時所得」として課税されます。NISAのような非課税扱いではありません。
一時所得の計算式
(解約返戻金 − 払込保険料総額 − 特別控除50万円)× 1/2 = 課税所得への加算額
具体例:払込総額500万円 → 解約返戻金600万円の場合
(600万円 − 500万円 − 50万円)× 1/2 = 25万円が課税所得に加算
払込総額500万円 → 解約返戻金800万円の場合:
(800万円 − 500万円 − 50万円)× 1/2 = 125万円が課税所得に加算
私のケースは「トントン」だったため一時所得は発生しませんでしたが、長期契約で運用益が出ている場合は見落としやすいポイントです。
FIREして国民健康保険に加入している方は特に注意
課税所得が増えると、翌年の国民健康保険料にも影響します。FIRE後の税金と社会保険料の全体像については「FIRE後にのしかかる税金と保険料|制度と働き方で乗り切る」にまとめています。
まとまった金額の解約を検討している場合は、税理士やFPへの相談をお勧めします。
6. 必要保障額の正しい計算方法:逓減型という答え
生命保険の本来の役割は「自分が死亡したとき、残された家族が生活に困らないようにすること」です。多くの方が保険に入りすぎている理由は、必要保障額を正確に計算していないからです。
必要保障額の計算式
必要保障額 = 家族の年間生活費 × 末子が18歳になるまでの年数 − 配偶者の収入・貯蓄・遺族年金
例:年間生活費300万円・子どもが現在5歳の場合
300万円 × 13年 = 3,900万円(妻の収入・遺族年金があれば、ここから減額)
重要な視点:必要保障額はライフステージで変化する
| 時期 | 必要保障額 |
|---|---|
| 子どもが小さい時期 | 最も大きい |
| 子どもが成長するにつれ | 減っていく |
| 資産が積み上がるにつれ | さらに減っていく |
| FIRE達成後(資産=保険代わり) | ほぼゼロ |
私が選んだのは逓減定期保険
逓減型は、時間が経つにつれて保険金が自然に減っていく掛け捨て保険です。
- 保障が最も必要な時期 → 保険金が大きい
- 資産が積み上がるにつれ → 保険金が縮小
- 掛け捨てのためコストが低い
最初からこの選択ができていれば、終身保険・変額保険・養老保険に費やした保険料をもっと早くNISAに回せていたはずです。
FIREに向けた資産計画の全体像については「1億円で叶えるリアルな資産計画と収入・支出シミュレーション」で詳しく公開しています。
7. 学資保険の代わりにNISAを使う、という選択
「子どもの教育費の準備に学資保険を使うべきか、NISAを使うべきか」。多くの方が迷う問題です。
私自身、終身保険・変額保険・養老保険を学資保険の代わりとして使っていました。結果はトントンで、14年間の利益はゼロ。この経験から、NISAとの役割の違いを強く実感しました。
教育費の現実(文部科学省「子供の学習費調査」参照)
| 進路 | 幼稚園〜大学の総費用目安 |
|---|---|
| オール公立 | 約1,000万円 |
| 大学のみ私立 | 約1,200〜1,500万円 |
| オール私立 | 約2,000万円超 |
学資保険・貯蓄型保険 vs NISA の比較
| 比較項目 | 学資保険・貯蓄型保険 | NISA(積立) |
|---|---|---|
| 元本保証 | あり(一部商品) | なし |
| 期待利回り | 0.1〜0.3%程度 | 長期なら年4〜7%想定 |
| 流動性 | 低い(途中解約で元本割れリスク) | 高い(いつでも出金可能) |
| 非課税 | 満期金に課税あり | 運用益が非課税 |
| 親死亡時の保障 | あり(保険料払込免除) | なし(別途保険で補完) |
シミュレーション:月3万円を13年間積み立てた場合
| 最終積立額(概算) | |
|---|---|
| 学資保険・貯蓄型保険(利回り0.3%) | 約476万円 |
| NISA(想定利回り5%) | 約636万円 |
| NISA(想定利回り7%) | 約752万円 |
※NISAの運用成果は保証されません。
13年以上の長期積立なら、インデックス型NISAの期待値が高いと考えています。ただし「積立期間が短い(5年以下)」「資金が必要な時期が決まっている」場合はリスクがあるため、必要時期の2〜3年前から徐々に現金化する戦略が有効です。
親に万一があった場合のリスクは、掛け捨て定期保険でカバーする。この役割分担が、私の結論です。
NISAを活用した実際の運用実績については「新NISA×S&P500一括投資で+38%|FIRE後の実践型運用戦略」をご覧ください。
8. 2024年、生命保険をすべて解約した判断基準
2024年、FIREを達成し総資産が1億円を超えたタイミングで、生命保険をすべて解約しました。
「資産が、保険の代わりになった」
生命保険の役割は「自分が死んだとき、残された家族が困らないようにすること」です。資産が十分にあれば、万一の場合でも家族は投資資産から生活を続けられます。資産そのものが「自己保険」の役割を果たす状態になった、ということです。
「不要」と判断した3つの条件
- 総資産が家族の年間生活費 × 30年分を超えた
- 子どもが独立に近づき、必要保障額が大幅に縮小した
- 分配金収入が生活費をカバーできるようになった
分配金収入が生活費をカバーするまでの資産設計については「分配金1,000万円を突破。FIRE後にたどり着いた「使いながら増やす」資産設計」に詳しく公開しています。
| 保険種類 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 変額保険 | 解約 | 資産が代替。高コストで継続する意味なし |
| 終身保険 | 解約 | 同上 |
| 養老保険 | 解約 | NISAで代替済み |
| 火災保険 | 継続 | 自分の死亡では補えないリスク |
| 自動車保険 | 継続 | 同上 |
「いくら以上なら不要」より重要な判断基準
金額より「毎月の収入(分配金・配当)が生活費をカバーできているか」が実質的な判断基準でした。
9. 資産形成期の方へ:まず現状を整理することから
以下に当てはまる方は、一度保険を整理することをお勧めします。
- 変額保険・終身保険・養老保険に入っているが中身を理解していない
- 保険料が毎月の家計を圧迫していると感じている
- NISAを始めたいが保険料が邪魔になっている
- 子どもが生まれたタイミングで言われるまま契約した
私自身は投資の知識がついてから自分で見直しをしましたが、当時プロのFPに相談できていれば、もっと早く整理できていたと思います。
今は無料でFPに相談できるサービスがあります。保険証券を持参して「この保険は本当に必要か」を確認することが、資産形成の大きな一歩になるかもしれません。
FIRE前に整理しておくべきお金の準備については「FIRE前にやるべき5つの準備(税金・保険・副業)」にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q. 変額保険はやめたほうがいいですか?
投資目的で加入しているなら、年率2〜3%のコストがかかる変額保険より、信託報酬0.1%前後のインデックスファンド(NISA)の方が長期運用効率は大幅に高いです。保障目的なら掛け捨て定期保険で十分まかなえます。ただし解約のタイミングによっては解約控除で損する場合があるため、まず現在の解約返戻金と解約控除の金額を保険会社に確認することを推奨します。
Q. 変額保険の解約時に税金はかかりますか?
解約返戻金が払込保険料の総額を上回っている場合、その利益は「一時所得」として課税されます。(解約返戻金 − 払込総額 − 50万円)× 1/2 が課税所得に加算される計算です。NISAのような非課税扱いではないため、大きな金額の場合は税理士への相談を推奨します。
Q. 終身保険や養老保険も解約した方がいいですか?
一概には言えませんが、資産形成を目的として加入しているならNISAと比較してコストと流動性を確認することをお勧めします。解約返戻金が払込保険料を下回る時期(解約控除期間)に解約すると損失になるため、加入年数と現在の解約返戻金を保険会社に確認してから判断してください。
Q. NISAで教育費を準備するのはリスクがありませんか?
積立期間が短い場合はリスクがあります。13年以上の長期積立であれば、過去のデータからも元本を大きく下回るリスクは低下します。必要な時期の2〜3年前から徐々に現金化していく出口戦略と、掛け捨て定期保険による万一リスクのカバーを組み合わせるのが現実的です。
Q. 資産がいくら以上あれば生命保険は不要ですか?
一般的な目安は「年間生活費 × 25〜30年分」ですが、金額より「毎月の収入(配当・分配金)が生活費をカバーできているか」の方が実質的な判断基準です。私の場合は総資産1億円超かつ月100万円の分配金収入が確立したタイミングで解約を決めました。
まとめ:役割を分ければ、判断はシンプルになる
保険は「万が一の保障」、投資は「未来の資産形成」。この2つは、別々の道具で設計する。
私が14年間で学んだことをまとめます。
- 変額保険・終身保険・養老保険を投資目的で使うとコストが高く非効率
- 元本が戻ってきても、機会損失という形で確実に損をしている
- 解約する前に「解約控除」と「税金(一時所得)」を必ず確認する
- 掛け捨て定期保険で必要な保障を最小コストで確保する
- 浮いた保険料をNISAの積立に回す
- 資産が積み上がれば、保障の必要性は自然に下がっていく
- FIREを達成した今は、資産そのものが「保険」になっている
感情ではなく、数字と役割で整理する。それだけで、家計の見通しは大きく変わります。
チェックリスト:今の保険、見直してみてください
- 今の生命保険の必要保障額を計算したことがあるか
- 変額保険・終身保険・養老保険の手数料(保険関係費)を確認したことがあるか
- 解約を検討しているなら、解約控除の金額を確認したか
- 解約返戻金に税金がかかるか確認したか
- 掛け捨て定期保険という選択肢を検討したことがあるか
- NISAで教育費・老後資金を積み立てているか
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免責事項
本記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としています。特定の金融商品・保険商品の推奨ではありません。投資・保険の判断はご自身の責任で行ってください。シミュレーションは一例であり、将来の成果を保証するものではありません。


